俺と久松史奈

93年秋からラジオを聞くようになった影響で、
J-POPにも興味を持ち始めた俺。
特に好きなのは女性ボーカル曲。
プリプリ、久宝留理子を筆頭に、小室プロデュースやビーイング系など、
女性ボーカルなら幅広く聞いていたつもりでした。

ただ、そんな中、どうしても好きになれないアーティストが2人いました。
それが、渡辺美里久松史奈でした。



2人とも、理由としては「何か嫌い」「生理的に受け付けない」とか
そんなはっきりしない理由がベースにあるのですが、
一応理由も書いておきます。

渡辺美里は、声が嫌い、顔が嫌い、
ついでに兄貴の部屋にあった「Lucky」というアルバムの、
CD棚に置いておくと一際目立つ青色、デザイン、
渡辺美里なのに「misato」という表記など、
目に付くものすべてが嫌悪感を感じさせるものでした。



そして、久松ですが、本格的なロック感、
特に外見にまでロック要素が及んでいる所が嫌でした。

例えばプリプリにしたってバンド形態ではあるものの、
曲なんか結構ストリングスアレンジとかも多いし、
ノリはいいもののそこまでハードな曲ではありません。
久宝にしたって、ヒット曲はロック色の強いものでしたが、
外見は俺ツボの童顔を推しだしていて、ロック色は薄めでした
(今の久宝はいい年してバリバリロック色全開の格好してるけどさw 当時の反発?)。

それに比べて久松は、茶髪のロンゲにジャケットといったロックっぽい格好に
可愛いとは言えない外見、ロック色をさらに強めるハスキーっぽいボーカルなど、
嫌だなー、と思う要素に満ち溢れていました。



ちなみに相川七瀬は先の2人と違って
デビューから追う事が出来た=先入観無く触れる事が出来たので、
嫌悪感の対象にはなりませんでした。
外見も曲も良かったしw



時は流れ1998年、大学生になった俺はサークルの先輩と仲良くなります。
俺の影響でPAMELAHを気に入ってくれたり、ジャンスマが好きだったりと、
音楽の趣味が合うなー、と思わせるような人でもありました。


そんな先輩から、「俺の好きなアーティスト。今度貸してあげるよ」と、
勧められたのが…久松史奈だ。
あまりに衝撃すぎて、その時の場所まで覚えている。

俺は中国武術研究会というサークルに所属していた。
練習場所は主にサークル棟の屋上と体育館とグラウンド横の空き地の3択なのだが、
その空き地の横にある木を使って練習前の柔軟なんかをやってる時に
そんな話になったんだよなー。

久松史奈の曲で知ってる曲ある?」と聞かれ、
「『大っキライだけど愛してる』です」
「珍しいなー、大体『天使の休息』って答えるんだけど」
なーんて会話をしたことも覚えている。

解説すると、当時聞いてた荘口彰久がパーソナリティを勤めるラジオ
「ぽっぷん王国ミュージックスタジアム」に
久松が『大っキライだけど愛してる』の宣伝でゲストに来たんだよなー。
リリース時期からすると1995年秋だろうか。
「もう恋なんてしないなんて言わないよ絶対」ばりの
「どっちだよ!」と突っ込みたくなるようなインパクトのあるタイトルに、
曲を聞いてみたら、嫌いという先入観とは裏腹に
「これは割といい曲だなー」というのを覚えてたんですよね。

そして
「大体『天使の休息』と答える」
という部分だが、
久松は一発屋とも言われるくらい、この『天使の休息』が代表曲だ。
ただ、俺はこの時『天使の休息』を知らなかった。
何故ならこの曲のリリースは1992年。
俺が音楽を聴くようになったのは1993年なので、それより前は分からない。
一発屋と言っても誰もが知ってるヒット曲、ってわけでも無いし。




当時既に音楽に対するこだわりの強かった俺。
そんな俺が嫌いな久松の音楽を聴くなんて考えられない。
よって、断りたい、という気持ちはあった。
ただ、先輩と後輩という関係上、むげに断るのもどうかと思うし、
先輩はPAMELAHを良いと言ってくれた。
そんな先輩が久松を良いと言うのなら、聞いてみる価値はあるのかもしれない。
俺が貸したPAMELAHを先輩が聞いた、
そのお返しに先輩が貸した久松を俺が聞く、
というのも礼儀だと思うし。



で、借りる。
「MAX II Re-Mix In London」というリミックスベストアルバムだ。
収録曲には『大っキライだけど愛してる』も入っており、
今思えば先輩が俺の会話を意識してチョイスしてくれたのかもしれない。

聞いてみた感想としては…
ここで「何だコレは!めっちゃいい!!!」とか言えたらいいんだろうが、
そんな事も無くw
ただ、悪くは無かった。
『BABY GIRL』『ALIVE』あたりは気に入っていたと思う。
特徴的なボーカルはまだ受け入れられないでいたが…


そして、他のアルバムにも手を出してみる。
借りたんだったか自分で中古を買ったんだったか…
久松は中古市場でも安く売られている事が多かったし、
いきなり買ったほうが先輩驚くだろうなー、という発想や
「借りるより買う」という俺のCDマニア的発想から、
多分買ったような気がする。


そうすると、「あ、こんな曲もあるんだー」と、発見もあって、
どんどん聞く曲が増えてくる。
この頃にはボーカルにも慣れ、嫌悪感も薄れてくる。
曲の良さだけではなく詞の良さにも気付きだし、
どんどんお気に入りの曲が増えていく。
そうやって時に先輩と会話を共有しながら、長く聞き続ける事で、
いつの間にか俺の中の好きなアーティストの上位に位置するようになりました。


久松史奈…それは俺の大学時代の青春です。




※久松曲ヒエラルキー


○S
・あの時のままでいたい
サビの歌詞を拳をあげつつ歌うのが気持ちよすぎるわけですが、
歌い出しの「背中にしょった荷物 重さはどれくらい?」という歌詞も
かなり印象的。
A,B,サビとスキの無い良メロディーの構成。
俺の中の久松らしいロック、奔放、自由を感じさせる詞など、
全てが高レベル。



・WALK
この曲は昔から好きだったが、ここ5年くらいでより好きになった曲。
iTunesの再生回数ではこの曲がダントツで突き抜けている
(52回 2位の『さよならを教えて』が23回)。

まず詞が良い。
一部分が良い、とかではなく全部良い。
俺のイメージする久松=ちょっと年上のヤンキー風のお姉さん、
みたいなのが「新しい遊びを教えるから、古いマニュアル外してごらん?」
と教える感じがハマりすぎている。
俺ツボの「絵が浮かぶ詞」を満たしてくれる。

A,B,サビとスキの無い良メロディーの構成だが、加えてCメロも良く、
そこにハマる歌詞がさらに良い!
この曲で一番印象的とも言える歌詞がハマっていて、
曲の良さをさらに際立たせている。

イントロもかなり好き。
特別凝ったイントロとは思わないが、
ふと流れてきた時に、非常にスキップしにくい、ついそのまま曲本編まで
耳を傾けてしまうイントロだと思う。



○A+
さよならを教えて(MAX Ⅱ ver.推奨)
3度繰り返されるサビの歌詞が全く同じ。
しかし、その歌詞が自分の恋愛体験とドンピシャ。
繰り返しによって余計に切なく、余計に胸に突き刺さる。
もちろんサビ以外の歌詞も良く曲も良い。
個人的失恋ソングの決定版。



・PRECIOUS DREAMIN'
カラッとした爽やかな夏を連想。
特徴的なイントロと歌い出しの歌詞でしっかり掴み、
「教室じゃ学べない 放課後のexercise」で
『WALK』同様の年上ヤンキー像が教える感を際立たせる。
ちなみにいやらしさはゼロである、とも付け加えておこうか。
「真夏の…remember me」の「…」が聞こえてきそうな
曲展開も○。



・SAY
サビの開放的な気持ちよさがある詞が印象的。
「どんな国宝よりも 今君が生きている方がずっと素晴らしい」
なんて聞くと「『それが大事』かよ!」と突っ込みたくなるw
他の詞は、そんなに胸に刺さるわけでは無いが、
ヤンキーお姉さんの思い悩む様子が良く描かれており、
俺ツボの「絵が浮かぶ詞」を満たしてくれる。

もちろん曲も良いです。
全体的に良いって感じかなー。





○A
・WONDERLAND
夏って感じとは違うが、
『PRECIOUS DREAMIN'』同様の気持ちよさのある楽曲。
どっちかというと、自由、開放感の強い曲。
Cメロが気持ちよすぎる。





○B+
・ALIVE
ヤンキーというよりはロック。
反発からの自由、解放を感じさせる
気持ちよさと力強さが詞と曲に溢れています。



・MAYBE
『WALK』あたりのヤンキーお姉さんって、19,20歳くらいのイメージなんだが、
ここはそのお姉さんが23〜26くらいになったイメージ。
A,Bメロのバタバタで忙しくてついてない感じの歌詞がそう連想させてくれる。
そしてサビの「Maybe こだわりすぎてる 気楽にいこうじゃない」で
ありったけ開放的に。



・LADY BLUE
最初詞を見た時は「なんてダサい詞だ」と思ったもんですw
「そこのLadyに告ぐ ただちに武装解除せよ 無駄な抵抗はやめて恋に堕ちなさい 崩れてひと思いに」
だぜ?
武装解除ってwwww

けど、これが結局印象に残るんだよなー。
そして久松のロック像に合っていて、
馴染み易い楽曲と相まって、まさにデビュー曲にふさわしいという印象。
これがカバーだっていうんだから驚き。





○B
・BABY GIRL
特になにがどう、ってわけでも無いのですが、
なんとなく聞ける、聞いちゃう曲。
曲が良い、ていうかそこまで詞は残らない。



・Wedding Kiss
全体的に良いけど、サビのメロディーと歌詞の乗り方が特に好き。



・GROWING UP
個人的には『PRECIOUS DREAMIN'』や『WONDERLAND』の劣化版という印象w
ある程度の楽曲の良さや気持ちよさはありながら、
上位曲に比べると、落ちるなあ…って。
それでもサビの英語詞は印象的。



・そっと I THINK SO
久松バラードの最高峰。
サビが良くつい口ずさんでしまうが、
詞の内容そのものがグッとくるわけじゃないんだよなー実はw
Aメロとかそんなに良いメロディーじゃないんだけど、
全体的な曲展開が良いせいか、しっかりじっくり聞けます。



・FOR MY FRIENDS
全体的な歌詞の世界観がロック久松ねーちゃん像にかなりハマっている。
これがカバーだっていうんだから驚き。
「listen to the music」やサビ終わりの英語詞などの
メロディーの乗り方、ハマり方がとても良いです。



・恋愛云々
全体的に良い曲だが、サビ終わりの
「よくありがちな 恋愛云々」の箇所がとにかく印象的。
詞の前後関係なく、この箇所だけでいろんな意味に取れます。
そしてなんとも言えない気持ちになるんだが、
決してネガティブでは無い不思議な気持ち。






○C+
・大っキライだけど愛してる
印象的なタイトルだが、詞はよくよく読むと恥ずかしいなw
まあありがちな恋愛ソング。
まあまあいい曲。



・YES MY FRIEND
単純に曲が良いです。



・CRY
サビの「距離は近いけど心の距離が遠い」的な歌詞がとにかく印象的。
Cryの連呼も良く、久松バラードNo2と言ってもいいでしょう。



・微笑みながら
単純に曲が良いです。
サビでバーンと弾ける感じが曲にも詞にもあると思います。



・天使の休息
大抵一発屋の代表曲って、
聞き飽きちゃうもんなんだけど、
リアルタイムで聞いてたわけでもないので、
それほど飽きずに聞けるのが良い。
とはいえ、他の曲のような公平な気持ちで楽曲評価するのが
難しい曲でもある。

「天使の休息」というワードと「とりあえず飲んで」というのが
違和感ではあるものの、久松を知ると気にならなくなる。
Cメロが良い。





○C
・PRICE OF MY HEART
なんとなく曲が印象に残る。



・夏の最後の日
地味目の曲だが、アコースティックな曲調で
ゆっくりと夏の情景を歌う歌詞は、独特の良さがあります。



・OH MY GOD
全体的に曲が良いです。



・FALLING LOVE
あまり聞いてなくて、それ故印象が薄いが、
イントロのピアノが抜群に良くウルっと来ちゃう位。
でも、イントロと同じメロディーのサビはそこまで良くないんだよなー。
何故なんだろう?



・シャレにしちゃって始めよう
楽曲のノリの良さや気持ちよさ、
ロック久松感のある詞など、俺の好きな感じの久松曲。



・Mr.
俺ツボの「絵が浮かぶ詞」の代表格って、
浜崎の『appears』の
初めての電話→2回目の電話→7回目の電話、
とストーリーが進行していくやつなんだが、
これも、初めて会った→二度目→三度目と
展開していく所がツボ。
やさしいメロディ展開も○。



・BRAND NEW DAY
サビが良いです。
「Fight your own war」の何言ってるんだか良く分からないけど
カッコいい歌い方もたまりません。



・忘れずにいられたら
綺麗、品のある曲という印象。
切ないラブバラードって感じの曲だが、
「寒い」の連呼、「だとか」の重ねなど、
印象的な歌詞を綺麗なメロディーに乗せて歌われる、
というだけで約束された良さがあるでしょう。


・DON'T LEAVE ME NOW
サビが印象的。